始め方

暗号資産交換業者の選び方|制度で共通している部分と、会社ごとに違う部分を分ける

交換業者を比べるとき、登録制で全社に課されている項目と、会社ごとに決まる項目は別物です。金融庁と業界団体の公表資料をもとに、費用・取扱銘柄・口座開設の条件・自分の守り方という4つの軸と、確認する順番を整理します。

同じ書式の確認シートを三枚並べ、その上に虫眼鏡と小さな案内板を置いた机
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交換業者の比較は、登録を受けた業者であれば共通して課されている項目をいったん脇に置き、会社ごとに決まる項目だけを自分の使い方に当てると短く済みます。

確認日: 2026年9月21日。この記事は金融庁と日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)が公表している資料、および国内交換業者の公式ヘルプの記載を対象とし、会社や銘柄の優劣、価格の見通しは扱いません。

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1. 比較の前に一度だけ済ませる確認

最初に見るのは各社のサービス内容ではなく、登録の有無です。

会社の説明を読む前に、確認する対象を自分の側で決めます。① 登録を受けた業者かどうか金融庁が公表する登録一覧と無登録業者の一覧で照合する② 自分の使い方を先に書き出す扱いたい銘柄、使う売り場、入出金の頻度、手元の書類③ 費用売買、入出金、送金の3か所を見る④ 取扱銘柄扱いたい銘柄がどの売り場にあるか⑤ 開設の条件年齢、居住地、使える本人確認書類⑥ 自分の守り方認証の設定と連絡先の管理③から⑥は各社の公式ページを同じ順に開き、読み取った内容は確認した日付とあわせて控えます
調べる順番の一例。先に自分の条件を書き出してから各社の公式ページを開くと、会社側の説明の並び順に引きずられずに同じ項目どうしを見比べられます。

金融庁は暗号資産の利用者向けのページで、暗号資産交換業者は登録が必要だとしたうえで、利用する際は登録を受けた事業者か確認するよう案内しています。同じページでは、暗号資産は「法定通貨」ではないこと、価格が変動することがあること、取引を行う場合は事業者から説明を受け、内容をよく理解してから行うことも挙げられています。

照合の材料は同庁が公表しています。暗号資産交換業は2017年4月1日から登録制となっており、同庁は暗号資産交換業者登録一覧をPDFとExcelの形式で掲載しています。あわせて、警告書の発出を行った無登録の国内業者および海外所在業者の一覧も公表しています。

ここを通過した会社どうしであれば、次の節で挙げる共通部分は満たされている前提で読み進められます。

出典: 金融庁:暗号資産の利用者のみなさまへ、金融庁:暗号資産・電子決済手段等関係

2. 共通して課されている部分は、会社の差にならない

各社の説明ページには、安全性に関する項目が並びます。そのうち相当部分は、登録を受けた業者であれば制度上求められている内容です。

登録制で全社に共通する部分会社ごとに決まる部分・口座開設時の本人確認・顧客財産と業者財産の分別管理・原則としてコールドウォレット等で管理・ホットウォレット分の弁済原資の保持・取扱う暗号資産を変更する際の事前届出・倒産時に優先して返還するための規定・虚偽表示、誇大広告の禁止・費用が発生する場所とその出方・取り扱う銘柄と、売り場の区分・口座を開設できる年齢や居住の条件・本人確認に使える書類と手続きの方法・画面の作りと公式ヘルプの探しやすさ・問い合わせ窓口と障害時の告知の出し方いずれも各社の公式ページで確認する満たしていることが前提であり、差にはならない自分の使い方に当てて見る対象比較の材料になるのは右側だけ。左側は登録の有無を確かめた時点で確認済みとして扱います
交換業者を比べるときの材料の切り分け。左は登録を受けた業者であれば制度上共通して求められる項目で、宣伝文として掲げられていても会社間の差にはなりません。右は会社ごとに決まるため、自分の使い方に当てて確認する対象になります。

金融庁の資料「暗号資産(仮想通貨)に関連する制度整備について」は、2017年4月施行の改正で暗号資産の交換業者に登録制を導入し、口座開設時における本人確認等を義務付けたとしたうえで、最低資本金、顧客に対する情報提供、顧客財産と業者財産の分別管理、システムの安全管理などの制度的枠組みを整備したと説明しています。

保管の方法についても記載があります。同資料は、交換業者に対し、業務の円滑な遂行等のために必要なもの(顧客から預かる暗号資産全量の5%を上限)を除き、顧客の暗号資産を信頼性の高い方法(コールドウォレット等)で管理することを義務付けたとし、ホットウォレットで管理する顧客の暗号資産については、別途、見合いの弁済原資(同種・同量の暗号資産)の保持を義務付けたと説明しています。

さらに同資料は、取り扱う暗号資産の変更を事前届出とし問題がないかチェックする仕組みを整備したこと、倒産時に預かっていた暗号資産を顧客に優先的に返還するための規定を整備したこと、広告・勧誘規制として虚偽表示・誇大広告の禁止や投機を助長するような広告・勧誘の禁止を整備したことを挙げています。

つまり「コールドウォレットで管理」「分別管理」といった表示は、登録業者である以上は前提であり、会社を分ける材料にはなりません。比較の対象は、次の節以降の項目に絞ります。

出典: 金融庁:暗号資産(仮想通貨)に関連する制度整備について

3. 軸①:費用が発生する場所と、その出方

費用は一つの数字ではなく、発生する場所ごとに分かれています。場所を先に決めておくと、各社の表を同じ形で読めます。

見る場所 確認する内容 確認先
売買 売り場ごとの手数料の区分と、販売所の売値と買値の差 各社の手数料一覧と取引画面
入出金 日本円の入金方法ごとの扱いと、出金時の費用 各社の手数料一覧
送金 外部へ送るときの費用と、ネットワーク側の負担 各社の手数料一覧と送金前の確認画面

同じ「売買」でも区分は一つではありません。Coincheckの公式ヘルプは、取引所の手数料について、Maker手数料は指値注文が取引板上に並び、その後約定した際に適用され、Taker手数料は注文が取引板上に並ばず約定した際に適用されると説明しています。加えて板寄せ手数料があり、取引所が停止し再開する際に実施される板寄せで約定した際に一律で適用されるとしています。同ページは銘柄ごとの手数料詳細について、同社の手数料ページを参照するよう案内しています。

金額そのものは変動するため、この記事では具体的な数字を扱いません。読み取った数字を残すときは、確認した日付とセットで控えます。費用の分け方は暗号資産の手数料の比較方法で、売り場による違いは取引所と販売所の違いで扱っています。

出典: Coincheck:取引所の手数料を教えてください

4. 軸②:取り扱う銘柄と、その調べ方

取り扱う銘柄は会社ごとに異なり、変更もあります。前述のとおり、金融庁の資料は取扱う暗号資産の変更を事前届出とする仕組みを整備したとし、取り扱う暗号資産を審査する自主規制機関とも連携すると注記しています。

その自主規制機関にあたるJVCEAは、事業会員が取り扱う暗号資産の種類と各暗号資産の概要説明書を「暗号資産概要説明書」として公表しています。また「グリーンリスト」について、国内会員における暗号資産の取り扱い状況に照らし、4点すべての項目を満たすものを「本邦で広く取り扱われている暗号資産」として公表するものだと説明しています。

同協会は会員の区分も公表しており、実際に事業を行う事業会員のほか、登録申請中又は登録申請を予定する事業者を事業準備会員としています。会社名を見かけたとき、どの段階にあるかはここで確かめられます。

調べる方向は「どこが多く扱っているか」ではありません。自分が扱いたい銘柄を先に決め、その銘柄が各社のどの売り場に置かれているかを見ます。取扱数の多さは、そのまま自分にとっての使いやすさにはなりません。

出典: JVCEA:各種資料、JVCEA:会員について

5. 軸③:口座を開設できる条件は会社ごとに違う

手続きの前提条件は、サービス内容よりも先に効いてきます。条件に合わなければ、ほかの軸を比べても口座は開けません。

Coincheckの公式ヘルプは、現在、18歳未満の方、75歳以上の方、日本国外に居住の方、特定在留カードまたは特定特別永住者証明書を本人確認書類として利用する方について、口座開設を受け付けていないとしています。手続きの方法も分かれており、同社は個人向けについてはアプリを使用しオンラインで本人確認を完了するとし、法人向けについてはPCブラウザでサイト上の本人確認後に郵送はがきの受け取りが必要だと案内しています。

事前の準備についても記載があります。同ページは、使用するスマートフォンが「かざして本人確認」または「写真で本人確認」の動作環境に対応しているか、条件を満たす本人確認書類を保有しているかを開設前に確認するよう挙げています。

条件の置き方は会社ごとに異なるため、年齢・居住地・手元の書類・使える端末を先に書き出し、各社の公式ヘルプの該当ページと突き合わせます。準備の一覧は口座開設前のチェックリストに、実際の流れはCoincheckの始め方にまとめています。つまずいたときの切り分けは口座開設が進まないときの確認手順で扱っています。

出典: Coincheck:口座開設の流れを教えてください

6. 軸④:自分の側でどこまで守れるか

制度が求めているのは事業者側の管理です。利用者側の設定は、会社を選んだあとに自分で積む部分として残ります。

見るのは、二段階認証の方式として何が選べるか、出金や送金の際にどの確認が挟まるか、連絡先の変更にどの手続きが要るか、といった項目です。手順は二段階認証の設定、保管の考え方はウォレットの選び方、全体の備えは暗号資産の守り方で扱っています。

なお、広告の受け取り方も判断の材料になります。金融庁の資料が挙げるとおり、投機を助長するような広告・勧誘は規制の対象です。強い言葉で取引を急がせる案内に出会ったときは、発信元が登録一覧に載っているかを先に確認します。

7. 比較の対象から外すもの

順位付けは扱いません。手数料・取扱銘柄・キャンペーンはいずれも変動し、どの軸に重みを置くかは使い方によって変わるためです。将来の価格に関する見通しも範囲外です。残るのは、自分の条件に照らした「開ける・開けない」「費用が発生する場所はどこか」「扱いたい銘柄があるか」という事実の確認だけです。

次に確認することは、金融庁の暗号資産交換業者登録一覧を開き、候補として挙がっている会社名がそこに載っているかを照合することです。そのうえで、載っていた会社の公式ページで手数料一覧と口座開設の条件を開き、確認した日付とあわせて控えます。

出典

当記事は情報提供を目的としており、特定の暗号資産の購入・売却を推奨するものではありません。 取引には価格変動・流動性・システム障害等のリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いします。 記事内容は執筆時点の情報に基づきます。手数料・サービス内容の最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。