仮想通貨の確定申告の計算方法|国税庁の資料で確かめる総平均法・移動平均法と計算書の使い方
暗号資産の所得金額の計算を、国税庁のFAQと計算書の掲載ページの記載だけで整理します。譲渡原価の出し方、総平均法と移動平均法の違い、評価方法の届出と変更、年間取引報告書から計算書への入力、取得価額が分からない場合まで。

暗号資産の所得金額は「売却価額などから譲渡原価と必要経費を差し引いた額」で、譲渡原価は暗号資産の種類ごとに総平均法か移動平均法で計算し、届出をしていない個人は総平均法になります。
確認日: 2026年10月28日。この記事は国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(令和7年12月最終改訂)と、計算書の掲載ページ、評価方法の届出手続のページの記載を対象とし、個人が国内の交換業者で行う現物取引の所得金額の計算までを扱います。申告の要否や個別の税額は判定しません。
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1. 先に知っておく注意点:計算は年単位で、自分で行う部分が残る
計算方法の前に、負担になりやすい点を先に確認します。国税庁の計算書の掲載ページは、暗号資産を売却または使用することで生じる利益は、事業所得等の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として雑所得に区分され、所得税の確定申告が必要になると説明しています。
株式の特定口座のように業者が年間の損益を計算して税金を差し引く仕組みは、この記事で扱う資料には書かれていません。年間取引報告書を発行していない業者もあり、CoincheckのFAQは確定申告に用いる年間取引報告書を発行しておらず(現物取引)、取引履歴のCSVを取得して損益の計算に使うよう案内しています(同FAQの更新日は2026年10月14日)。
もう1つは、計算に使う評価方法の選び方に期限があることです。総平均法以外を使いたい場合は、初めてその種類の暗号資産を取得した年分の確定申告期限までに届出書を出す必要があり、あとから変える場合は別の承認手続が必要です(4章)。
税金の全体像と「20万円」の意味は仮想通貨の税金はいくらからで整理しています。
出典: 国税庁:暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和7年12月)、Coincheck:確定申告用の報告書は発行してもらえますか?
2. 計算の基本式:売却価額など − 譲渡原価 − 必要経費
FAQの1-1は、保有する暗号資産を売却(日本円に換金)した場合の所得金額は、その暗号資産の譲渡価額と譲渡原価等との差額になると説明しています。ほかに必要経費がある場合は、その額も差し引きます。
日本円に換えたときだけが対象ではありません。FAQの1-2は、保有する暗号資産で商品を購入した場合は暗号資産を譲渡したことになるとし、商品の価額を譲渡価額として計算する例を示しています。1-3は、暗号資産Aを暗号資産Bと交換した場合も、AでBを購入したことになるため、Aの譲渡に係る所得金額を計算する必要があるとしています。
必要経費についてFAQの2-3は、インターネットやスマートフォンの回線利用料は暗号資産取引に係る分を明確に区分できる場合に限り算入できること、パソコンなど一定の資産は減価償却により使用可能期間にわたって分けて計上することを注意点に挙げています。
出典: 国税庁:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)(1-1、1-2、1-3、2-3)
3. 譲渡原価の出し方:総平均法と移動平均法
FAQの2-4によると、譲渡原価は暗号資産の種類(ビットコインなどの名称)ごとに、「年初に保有する暗号資産の評価額」と「その年に取得した暗号資産の取得価額の総額」の合計から、「年末に保有する暗号資産の評価額」を差し引いて計算します。年末の評価額は「年末時点での1単位当たりの取得価額」に年末の保有数量を掛けて求め、その単価を次のどちらかの方法で出します。
| 評価方法 | FAQの説明の要点 |
|---|---|
| 総平均法 | 年初に保有する分の評価額とその年に取得した分の取得価額の合計を、それらの総量で割った価額を年末の1単位当たりの取得価額とする |
| 移動平均法 | 取得の都度、その時点で保有する分の簿価の総額を保有数量で割って平均単価を出し、12月31日に最も近い日に算出した平均単価を年末の1単位当たりの取得価額とする |
方法によって結果は変わります。FAQの設例(同じ1年間の売買)では、譲渡原価は総平均法で3,106,000円、移動平均法で3,080,200円と示されています。どちらが有利かは取引の内容によって変わるため、この記事では判断しません。
FAQは、選択しない場合の方法を、個人は総平均法、法人は移動平均法と注記しています。前年から繰り越した暗号資産がある場合は、年初の数量と評価額を計算に加えます。
出典: 国税庁:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)(1-1、2-4)
4. 評価方法の届出と変更の手続
FAQの2-5によると、評価方法は暗号資産の種類ごとに選び、初めて暗号資産を取得した場合と、異なる種類の暗号資産を取得した場合は、その年分の確定申告期限(原則として翌年3月15日)までに、納税地の所轄税務署長へ「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を出します。届出がない場合は総平均法になります。
国税庁の手続案内(A1-20)は、提出はe-Taxで行うほか、書面で作成して持参または送付することもできると案内しています。期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合はその翌日が期限で、前年以前に同じ種類の暗号資産を取得している場合は提出の必要はないとしています。
変更する場合はFAQの2-6のとおり、変更しようとする年の3月15日までに「評価方法の変更承認申請書」を出して承認を受けます。その年の12月31日までに承認または却下の通知がなければ承認があったものとみなされます。一方で、変更前の方法を採用してから相当期間(特別の理由がない場合は3年)を経過していない場合などは、却下されることがあると注記されています。
出典: 国税庁:A1-20 所得税の暗号資産の評価方法の届出手続、国税庁:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)(2-5、2-6)
5. 年間取引報告書から「暗号資産の計算書」に入れる
国税庁は計算書の掲載ページで、「暗号資産の計算書(移動平均法用)」と「暗号資産の計算書(総平均法用)」をExcel形式で公開しています。同じページには、交換業者から送付される年間取引報告書を利用して計算する場合は「総平均法用」を使うよう注記があります。
FAQの2-8は、年間取引報告書の該当欄の数字を総平均法用の計算書に入力すれば、簡便に所得金額を計算できると説明しています。入力例では、暗号資産の名称を書き、取引所ごとに購入と売却の数量・金額を並べ、報告書以外の取引は別の欄に入れる形になっています。計算書の中で総平均単価、売却原価、年末残高が順に出て、最後に売却価額から売却原価を差し引いて所得金額が出ます。
入力例の注記で確認しておく点は2つです。前年以前から取引している場合は前年末の数量・金額を「年始残高」に入れ、分からない場合は前年分の計算書を自分で作って求めます。支払手数料などの必要経費は「手数料等」の欄に入れます。
各社の報告書の取得場所は年間取引報告書のダウンロード方法にまとめています。報告書を発行していない業者のCSVの取り方もそちらで扱っています。
出典: 国税庁:暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和7年12月)、国税庁:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)(2-8、2-9)
6. 取得価額や売却価額が分からない場合
FAQの2-7は、国内の交換業者を通じた取引(平成30年1月1日以後)については年間取引報告書で確認し、手元にない場合は業者に(再)交付を依頼するよう案内しています。平成29年以前は交付されない場合があるとの注記があります。
国外の交換業者や個人間の取引は、購入や売却に使った銀行口座の入出金の状況や、取引の履歴と交換業者が公表する取引相場から確認する方法が挙げられています。個人間取引では、主に利用する交換業者の取引相場を使うよう注記があり、申告後に正しい金額が分かった場合は修正申告または更正の請求で訂正するよう案内しています。
あわせてFAQは、売却した暗号資産の取得価額を売却価額の5%相当額とすることも認められるとしています。どの方法で申告するかは個別の判断になるため、迷う場合は税務署の相談窓口や税理士に確認する対象です。CoincheckのFAQも、申告の要否や所得の計算方法は税務署や税理士などの専門家に相談するよう求めています。
口座を開く段階から履歴の取り方を知っておきたい場合は、コインチェックの始め方、GMOコインの始め方、bitbankの始め方で各社の公式ヘルプに沿った手順を整理しています。
出典: 国税庁:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)(2-7)、Coincheck:確定申告用の報告書は発行してもらえますか?
7. 次に確認すること
まず保有している暗号資産の種類ごとに、評価方法の届出をしたかどうかを確かめます(していなければ総平均法)。そのうえで各業者の年間取引報告書や取引履歴をそろえ、国税庁の計算書に年始残高・購入・売却・手数料等を入れていくのが計算の順番です。
出典
- 国税庁:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)(令和7年12月最終改訂) — 1-1 売却、1-2 商品の購入、1-3 暗号資産同士の交換、2-3 必要経費、2-4 譲渡原価、2-5 評価方法の届出、2-6 評価方法の変更手続、2-7 取得価額や売却価額が分からない場合、2-8 年間取引報告書を活用した計算、2-9 年間取引報告書の記載内容。
- 国税庁:暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和7年12月) — 原則として雑所得になること、計算書(移動平均法用・総平均法用)の掲載、年間取引報告書を使う場合は総平均法用を使う注記。
- 国税庁:A1-20 所得税の暗号資産の評価方法の届出手続 — 提出時期、提出方法、提出先、届出をしない場合は総平均法になること。
- Coincheck:確定申告用の報告書は発行してもらえますか? — 現物取引の年間取引報告書を発行していないこと、取引履歴CSVと国税庁の資料への案内、専門家への相談の案内(更新日2026年10月14日)。