クリプトデイリー 2026-09-07
金融庁が無登録の暗号資産交換業として香港Izakaya Limitedに警告書/バイナンスがMiCA未認可のままEU顧客へのサービスを継続=Bloomberg/メタプラネットCEOが報酬スキームの説明不足を認める。今日の3本です。
今日は「登録」「認可」「開示」の3本です。どれも相場の話ではなく、事業者が守るべきルールと、それを利用者側からどう確かめるかという話でまとまりました。
1. 金融庁、無登録で暗号資産交換業を行ったとして香港のIzakaya Limitedに警告書
金融庁は9月1日、暗号資産のレンディングとスワップを提供するサービス「IZAKA-YA(イザカヤ)」を運営する香港法人のIzakaya Limited(イザカヤ・リミテッド)に対し、無登録で暗号資産交換業を行う者として警告書を発出しました。根拠は事務ガイドライン第三分冊「金融会社関係」16.暗号資産交換業者関係Ⅲ-1-6(2)②で、同社が「インターネットを通じて、日本居住者を相手方として暗号資産交換業を行っていた」ことが理由とされています。金融庁は無登録業者の一覧にも同社を新たに掲載しました。公表資料では同社の代表者は「不明」と記載されています。なお同社は8月24日に、不正資金の流入や資金洗浄の疑いがある取引を確認したとして、一部アカウントの送金と出金を一時停止し、全利用者に本人確認を必須とすると発表していました。
出典: CoinPost / CoinDesk Japan(NADA NEWS)
ひとこと(Jura) — 覚えておきたいのは、順番として「出金が止まる」が先で「警告書が出る」が後だった、という並びのほうだと思います。警告書は利用者を救済する仕組みではなく、無登録営業を公表する仕組みですね。日本居住者向けのサービスを使うときは、金融庁の登録業者一覧と無登録業者の一覧を先に引く、という手順だけは習慣にしておくといいと思います。
2. バイナンス、MiCA未認可のままEU顧客へのサービスを継続=Bloomberg
Bloombergは9月4日、大手暗号資産取引所のBinance(バイナンス)が、欧州連合(EU)で未認可のまま一部顧客へのサービスを継続していると報じました。EUの暗号資産規制「MiCA」は、暗号資産の発行や関連サービスについてEU共通のルールを定める枠組みです。報道によれば、同社は「リバース・ソリシテーション」と呼ばれる例外規定を根拠にしているとされます。これは業者からの勧誘を受けず顧客が自発的にサービスを求めた場合に、EU域外の業者がMiCAの認可なしでサービスを提供することを限定的に認めるものです。一部のEU顧客の取引は、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビにある同社法人を通じて処理されていると報じられています。欧州証券市場監督機構(ESMA)は6月23日付の声明で、未認可業者に対し新たなEU顧客の受け入れや勧誘を直ちに停止するよう求めていました。バイナンスは、事業を展開する地域の規制を順守していると説明しています。
ひとこと(Jura) — 「リバース・ソリシテーション」は、日本の無登録業者の話を読むときにも出てくる考え方ですね。勧誘したかどうかで線を引くので、利用者が自分から申し込んだ形になっていると、どの国のルールで守られるのかが途端に見えにくくなります。1本目と並べると、結局は「自分がどこの法人と契約しているのか」を確認できる状態かどうかが分かれ目なんだと思います。
3. メタプラネットCEO、報酬スキームをめぐり「十分に伝えられていなかった」
Metaplanet(メタプラネット)のSimon Gerovich(サイモン・ゲロヴィッチ)CEOは9月6日、報酬・ガバナンス方針の見直しを継続しているとXへ投稿しました。株主から批判が出ていた点について、「会社の仕組みや判断が全株主の長期的な価値創出にどうつながるのか、十分に伝えられていなかった」として、経営判断の意図や長期的な株主価値との関係を伝える情報発信も強化するとしています。問題となったのは第10回新株予約権で、行使価額が1株10円で、増資などに応じて取得できる株式数も増える仕組みだったため、既存株主の希薄化負担を拡大し、将来の希薄化の程度を見通しにくくしていたと報じられています。同社は8月18日の改正で潜在株式数を3億1946万4000株に固定し、原則として2031年8月17日までの売却・譲渡制限を設けました。ゲロヴィッチCEO自身は8月28日に普通株式6403万2000株を取得しており、同じ売却・譲渡制限が適用されます。
ひとこと(Jura) — ここで押さえておきたいのは、希薄化の「量」ではなく「見通せなさ」が論点になっていたところですね。株式数が資金調達に連動して増える設計だと、いま何株分の権利が存在するのかを外から数えられない。上限を固定して期限つきのロックをかける、というのは、金額の大小より先に「数えられる状態に戻す」ための修正だと思います。暗号資産を保有する上場企業を見るときも、保有量と同じくらい発行体側の株式設計を見る目が要るということですね。