クリプトデイリー 2026-08-31
DAT企業50社の時価総額が800億ドル超縮小/株の受け渡し「T+2」と即時決済の検討/予測市場に大規模ファンドが参入開始。今日の3本です。
今日は「値付けの前提が剥がれる話」「決済のインフラが変わる話」「参加者の顔ぶれが変わる話」の3本です。
どれも相場そのものではなく、その下にある仕組みや構造の話として読むと分かりやすいと思います。
1. ビットコイン保有企業50社の時価総額、1年余りで800億ドル超が縮小
英Financial Timesが8月27日、ビットコインを大量保有する主要50社の合計時価総額が、2025年7月の約1,500億ドルから2026年8月には約670億ドルに縮小したと報じました。
50社のうち35社では株価がピークから50%以上下落しています。
いわゆるDAT(Digital Asset Treasury)企業と呼ばれる、BTCを財務資産として持つ上場企業のカテゴリです。
旧MicroStrategyのStrategyは84万447BTCを保有していますが、同社のmNAV(保有資産に対する時価総額の倍率)は約1.01倍まで低下し、かつてついていた大きなプレミアムはほぼ消えたと記事は伝えています。
出典: NADA NEWS
ひとこと(Jura) — この記事で押さえておきたいのは、価格の上下ではなく「プレミアムはどこから来ていたのか」という点だと思います。
BTCを持っているだけで保有資産以上に評価される、という構造は、同じことをする企業が増えれば差別化になりません。
記事も、1株当たりのデジタル資産価値や財務ポリシーの開示といった評価軸を挙げていますね。
仕組みとして理解しておくと、似た形の商品や企業を見たときに「何に対してお金を払っているのか」を分けて考えられます。
2. 株の受け渡しはなぜ2日後なのか──「T+2」とブロックチェーンによる即時決済の検討
日本株の受け渡しは原則として約定日の2営業日後、いわゆる「T+2」です。
この2日は単なる事務処理の待ち時間ではなく、誰が何をいくらで売買したかを確認する「照合」、日本証券クリアリング機構(JSCC)が中央清算機関として担う「清算」、複数の取引をまとめて株と資金の移動を最小化する「ネッティング」、そして株と代金をセットで動かす「DvP(Delivery versus Payment)」という工程を通るためだと記事は解説しています。
一方で日本経済新聞は、政府が株式・日本国債の取引についてブロックチェーンを使った即時決済を検討していると報じており、金融庁・財務省・日本銀行・金融機関などが2027年初めの具体的計画策定、2030年代初めの実用化を目指しているとされています。
出典: NADA NEWS
ひとこと(Jura) — 暗号資産に触れると「送ったら数分で着く」のが当たり前になるので、逆に既存の金融がなぜ2日かけているのかを知っておくと見え方が変わりますね。
記事が丁寧なのは、T+0にすればいいという話にしていないところです。
まとめて処理することで移動量を減らす効率と、待ち時間ゼロの即時性はトレードオフの関係にある。
この両立の設計が、ブロックチェーン側の技術が現実の市場インフラに入っていくときの本題なんだと思います。
3. 予測市場に大規模ファンドが参入開始、ParlayX CEO「市場はこの6カ月で劇的に成熟した」
予測市場に機関投資家の参加が広がっているという報道です。
記事によると、Polymarketではユーザーの2%未満が全取引高の88%を生み出しており、主要な予測市場プラットフォームでは全アカウントのわずか0.1%が累計利益の67%を獲得しているとWSJ紙が報じています。
機関投資家向けの統合取引プラットフォームParlayXは2026年8月に正式サービスを開始し、資金を「Pod」と呼ぶサブアカウントに分割して複数のクオンツ戦略を独立管理できる仕組みを提供。
CEOのアンドリュー・ゴンザレス氏は、従来の「1ウォレット・1アカウント」モデルが機関投資家の参入を妨げていたと指摘し、今後3〜6カ月でプラットフォーム経由の取引高を10億ドルに到達させたいと述べています。
出典: NADA NEWS
ひとこと(Jura) — 数字として重いのは、上位0.1%のアカウントが累計利益の67%を取っているという部分ですね。
参加のハードルが低い市場ほど、こういう偏りは表に出にくいものだと思います。
機関投資家向けの器が整うという話は、裏を返せば専業のクオンツ勢が本格的に入ってくるということでもある。
誰と同じ土俵に立つことになるのか、という視点で読んでおくといい記事だと思います。