クリプトデイリー 2026-08-29
英中銀にデジタルマネー革新の責務/Core Lightningの脆弱性とAI生成レポート/SBIがインドネシアAjaibに20%出資。今日の3本です。
今日は「規制の器」「使っているソフトの安全」「日本のお金がどこへ向かっているか」の3本です。
派手な値動きの話ではありませんが、どれも数年単位で効いてくる種類のニュースだと思います。
1. 英財務省、イングランド銀行にデジタルマネー分野の技術革新を支援する副次的責務
英財務省は27日、イングランド銀行に対し、決済システムや新興のデジタルマネー分野の技術革新を支援する新たな副次的責務を与えると発表しました。
金融安定という主目的の下位に位置づけられる責務で、イングランド銀行は毎年、議会に報告することが求められます。
背景には、トークン化や分散型台帳技術(DLT)などデジタル決済技術の発展が世界の金融市場を変革し得るという認識があり、英国が金融サービスの世界的リーダーであり続けられるようにする狙いとされています。
関連する金融サービス市場法案は9月7日と9日に貴族院で審議される予定で、認可を受けたステーブルコインはFCAが監督し、規制の本格運用は2027年から始まる見通しです。
出典: CoinPost
ひとこと(Jura) — 目を引くのは「副次的責務」という置き方ですね。
中央銀行の第一目的はあくまで金融安定のままで、その下にイノベーション支援を足し、しかも毎年議会に報告させる。
促進と抑制を同じ組織に持たせるときの、わりと丁寧なやり方だと思います。
日本を含め各国のステーブルコイン制度を見るときも、「誰が監督するか」だけでなく「その監督者に何を義務づけたか」まで見ると、制度の性格がわかりやすくなります。
2. Core Lightningに脆弱性、きっかけはAI生成のセキュリティ報告
ビットコインのライトニングネットワーク実装のひとつであるCore Lightning(CLN)に脆弱性が確認されました。
開発チームは、過去10日間に複数の情報源からAIが生成したCVE(共通脆弱性識別子)報告を多数受け取り、検証を進めた結果、一部については実際の脆弱性であることが確認されたとしています。
件数や深刻度の詳細は明らかにされていません。
対象はライトニングネットワークのプロトコルそのものではなくCLNのソフトウェアに関する脆弱性で、BTCPay Serverのオンチェーンウォレットなどは影響を受けないとされています。
開発チームは修正版のバイナリ(実行ファイル)を先行して提供するという異例の措置を発表し、リリースの詳細については2週間のエンバーゴ(公開猶予期間)を設ける方針です。
修正版の公開までは「–offline」モードでの稼働が推奨されており、このモードでは他ノードとの通信は止まりますが、ブロックチェーンの監視は継続できます。
公開後は署名を検証したうえで速やかにアップグレードする必要があります。
出典: CoinPost
ひとこと(Jura) — 「AIが大量に投げてきたCVE報告のなかに、本物が混ざっていた」という筋書きが今っぽいですね。
ノイズが増えると開発側の検証コストは上がるけれど、そのノイズを浴びること自体が発見につながる場合もある、と。
自分でノードを動かしている人向けの実務としては、詳細が伏せられている以上「–offline で凌いで、公式の署名を検証してから上げる」以外の近道はありません。
署名の検証手順を今のうちに確認しておくのが、いちばん確実な備えだと思います。
3. SBIホールディングス、インドネシアのアジャイブに20%出資
SBIホールディングスは8月28日、インドネシア最大級のオンライン総合投資プラットフォームを運営するアジャイブ(Ajaib)グループへの戦略的出資を発表しました。
SBIは子会社を通じてアジャイブグループの株式20%を取得します。
出資額について、日本経済新聞は2億7,000万ドル(約430億円)と報じています。
アジャイブは伝統的金融資産とデジタル資産の双方を取り扱う総合的な投資・資金管理プラットフォームで、インドネシア国内外の株式、債券、投資信託、ETF、暗号資産(仮想通貨)、ステーブルコイン、コモディティ、外国為替(FX)への投資機会を提供し、決済や預金サービスも展開しています。
両社はトークン化金融インフラの構築で連携し、アジアにおけるデジタル資産の普及を推進する方針です。
出典: あたらしい経済
ひとこと(Jura) — 注目したいのは、アジャイブが株式も投信も暗号資産もステーブルコインも同じアプリで扱っているところですね。
日本だと証券口座と暗号資産取引所は別会社・別口座なのが当たり前ですが、後発で金融インフラが立ち上がった地域では最初から一体で作られている。
SBIが狙っているのはたぶんそのモデルのほうで、「トークン化金融インフラ」という言い方もそこに沿っています。
日本から見ると、口座が分かれているのは技術的な必然ではなく制度と歴史の産物なんだ、と気づかされる事例です。